今回は『世界の一流は「雑談」で何を話しているのか』の書評をしていきます。
本書は、外資系企業やGoogleでの経験を持つ著者が、日本と世界の雑談文化の違いに着目し、「成果につながる雑談」の本質と実践法を徹底的に解説した一冊です。ビジネスの現場における会話力を磨きたい方におすすめです。
書籍紹介
| 書籍名 | 世界の一流は「雑談」で何を話しているのか |
| 著者 | ピョートル・フェリクス・グジバチ |
| 出版社 | 東洋経済新報社 |
| 発売日 | 2023年3月17日 |
概要
本書は、「雑談」を単なる世間話やアイスブレイクではなく、ビジネスにおける“戦略的なコミュニケーション手段”と捉える視点から書かれています。日本人は雑談を「無駄なもの」と考えがちですが、著者はグローバルなビジネス現場では、雑談こそが信頼構築・情報交換・意思決定の起点となると説きます。
Googleやモルガン・スタンレーでの経験をもとに、雑談を「対話（ダイアログ）」として活かす方法を5つの意図（確認・伝達・取得・信頼構築・意思決定）に分類。雑談が上手な人ほど、明確な目的を持ち、相手との関係を深め、結果的に成果を出しているという事例が豊富に紹介されています。
また、1on1ミーティングやチーム内コミュニケーションなど、雑談がもたらす組織運営への影響にも言及し、「聞き手力」や「共感力」といった非言語的スキルの大切さも強調されています。さらには、避けるべきNG雑談のポイントも解説されており、実践的な一冊となっています。
本書を読むことで得られること
- 雑談の本質が理解できる
雑談を「成果につながる行動」として再定義し、戦略的に活用する意義が学べます。 - グローバルな会話スタイルの違いを知ることができる
日本の“定型雑談”と世界の“目的ある対話”の違いが明確に示されています。 - 雑談を通じた信頼構築や関係づくりのコツが得られる
無条件の肯定的関心や自己開示など、人とのつながりを強める実践法が紹介されています。 - 組織内での雑談の効果が理解できる
生産性向上や心理的安全性、アイディア創出に雑談が果たす役割が具体的に語られています。 - 避けるべきNG雑談の例とその理由がわかる
プライベートへの過度な介入やセンシティブな話題への配慮など、実務で役立つ知識が学べます。
本書を読んだ感想
雑談という言葉に「軽さ」を感じていた自分にとって、本書はその認識を根本から覆すものでした。特に印象的だったのは、“世界の一流は雑談に明確な意図を持っている”という点です。単なるアイスブレイクではなく、相手との距離を縮め、信頼関係を築き、未来のビジネスチャンスを探るきっかけとして機能していることに驚きました。
また、著者の豊富な海外経験をベースにした視点は、異文化コミュニケーションへの理解も深まり、日本人が雑談を苦手とする理由にも納得感があります。言葉のテクニックよりも、「相手への関心」や「対等な姿勢」が雑談力の本質だと気づかされました。
読み終えたあと、自分自身の会話のクセや、雑談の中で無意識に取っていた行動を振り返るきっかけにもなり、ビジネスパーソンとして一段レベルアップできた感覚があります。
本書の評価
★★★★★
「雑談」というテーマでありながら、ここまで深く、論理的かつ実践的に掘り下げた本は非常に稀です。単なるノウハウではなく、会話の背後にある“目的”や“在り方”まで丁寧に解説されており、読んだ直後から仕事や人間関係に活かせる内容ばかりでした。あらゆるビジネスパーソンにおすすめしたい一冊です。
本書がおすすめな人
- 雑談が苦手で会話が続かないと悩んでいる人
目的を持つことで会話が自然と豊かになります。 - ビジネスで信頼関係を築きたいと考えている人
雑談を通じた関係性構築のテクニックが学べます。 - グローバルな働き方を視野に入れている人
世界基準のコミュニケーションスタイルが理解できます。 - 上司や部下との1on1ミーティングがうまくいかない人
雑談を通じて心理的安全性をつくるヒントが得られます。 - 会話の場面で何を話していいか迷う人
避けるべきNG話題や質問のコツも紹介されています。
まとめ
『世界の一流は「雑談」で何を話しているのか』は、「なんとなくの会話」を「成果を生む対話」に変えるための指南書です。雑談の捉え方が変われば、人間関係も仕事の質も変わっていきます。この本をきっかけに、会話そのものがより前向きで、意味のあるものになるでしょう。雑談に自信がない人こそ、ぜひ読んでみてください。
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